木造の強み
そもそも木造にはどのような特徴があるのでしょうか?
知っているようで知らない木造について正しい知識を持つことが大事です。
①ジメジメした日本で快適に暮らす方法【調湿性】
日本は世界で最も高温多湿の国の一つです。
快適に過ごすためには湿度を上手に管理することが重要です。
断面約10c㎡×3mの木の柱1本でビール大瓶約2~3本分の水分を保持することができます。
壁に木を張ることにより、室内湿度を常時55%程度に保つことができるのです。
湿度が高くて蒸し暑い日本でも、湿度を抑えることにより、木造住宅では快適に過ごすことができます。
コンクリート打ち放しの家は乾燥した南国には適していても、高温多湿の日本には本来向いておらず、 加えてメンテナンス費用もかさばります。
➁暖房をつけているのに温まらないのはなぜ?【断熱性】
鉄は熱を伝えやすく、熱を橋渡ししてしまう性質があるため、「 熱橋 」と呼ばれることがあります。
熱を伝えやすいということは、熱が逃げてしまうということです。(熱の伝導率が高いといいます)
一方、木はそれ自体が断熱材になります。
木材は空気を多く含んでいるため、熱を伝えにくい性質を持っています。(熱の伝導率が低いといいます)
木造住宅の「冬は暖かく夏は涼しい」という快適な住まい環境が実現できるのは、木造の住宅が外気の影響をほとんど受けない性質のおかげです。
我々が鉄に触れたときには冷たいと感じ、木材に触れたときにはどこか温もりを感じるのは、こういった熱の伝導率が関係しています。
この熱の伝導率の低い鉄は、断熱性能の低下を招くことになるため、他の素材でしっかり断熱しないと、結露しやすく、傷みや劣化が早くなる原因となります。
③部屋の素材によって音が大きく変わります【吸音性】
コンサートホールの内装が木でできていることや、鉄製楽器と木製楽器の音の響き方の違いは、木の吸音効果によります。
空気を多く含む木材は、低音から高音まで幅広い音をバランス良く吸収してくれる性質があるため、雑音を取り除き、柔らかな音に変えてくれます。
まさに、天然のノイズキャンセリングです。
石やコンクリートなどに比べて反響せず、また他の材質と比較して最大10 倍以上もの吸音率があります。
④実は木が火に強いことをご存じですか?【耐火性】
木が燃え進む速度は1分間に約0.6mmですから、30分で18mm両方から燃えたとしても計3.6cmにしかならず、それ以上太い木であれば、住宅が燃えても倒壊しません。
一方、鉄は約500℃~800℃で強度が急激に低下し、建物が倒壊する危険性が急上昇します。
2001年のアメリカ同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンターは、旅客機が衝突しても耐えられる構造でしたが、熱による鉄骨の強度低下により倒壊しています。
アメリカでは子供が使用する体育館などの公共建築物の 梁 は木にすることと、州法で定めているところもあります。
しかし、木造住宅には火災の被害が大きいイメージがあると思います。
実は直接の原因は木材ではないことが多いです。
例えば、安価で断熱性能が優れているウレタンは、価格を抑えた住宅では断熱材としてよく利用されます。
しかし、ウレタンは燃えると、シアンガスという、猛毒が発生します。
火災における死因では、この種のガスによる死者が最も多いのです。
⑤木造は地震に弱いのか?【耐震性】
木造住宅は地震に弱いというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
鉄に比べた場合、断面積あたりの強度では、鉄に軍配があがりますが、同じ重さではむしろ木のほうが強いのです。
1c㎡あたりの鉄の引っ張り強度が約5トンなのに対し、杉の強度は約1トンですから、同じ断面積では鉄のほうが強いのは事実です。
しかし、これを重さあたり(比強度)で比較すると、鉄の比重は7.8、杉は0.35ですから、今度は逆に、杉は鉄の4倍の強度があることになります。
また、コンクリートと比較すると杉のほうが5~6倍強度があります。
(同じ重さなら、杉の引っ張り強度は鉄の約4倍、圧縮強度は鉄の2~3倍です。
また、コンクリートの約5倍の強さを持っています。)
つまり、同じ強さの建物を作ると、木造の建物は、鉄骨製の建物の約半分の重さでできます。
地震により建物に加わる力は重さに比例します。(「建物の重さ」×「加速度」)
鉄骨造と木造で、同じ強度の家を造った場合、鉄骨造の家には木造の建物の約2倍の地震エネルギーがかかるのです。
つまり、同じ強度の家では木造住宅のほうが鉄骨造の建物より被害が少ないといえます。
⑥木造住宅の耐用年数は48年?【耐久性】
伝統工法は、本来、極めて耐久性があり、しかも美しいのが特徴です。
法隆寺は建立から、1,300年あまり経っていますが、幾度の大きな地震にも倒壊していません。
奈良時代の建築が、今なお60棟も建っていますが、これらも1,300年以上経過しています。
平安時代の建築も同じくらい健在ですが、これらは1,000年は経過しています。鎌倉時代のものが、約400棟あって、およそ800年経過しています。
室町時代も含めると、約1,000棟にものぼります。近世以降400年経つものは、無数といってよいほどあります。
社寺に限らず、民家でも、兵庫の「 箱木家 住宅」や、福井の「 坪川家 住宅」など、室町時代から500年は経ったものがあり、各県に300年から200年以上経ったものが、必ず2~3軒以上はあります。
高温多湿のわが国の風土において、こんなに多くの長寿の木造が残っていること自体が、実に驚異的なことであって、世界広しと言えども、他に例を見ないといえます。
名建築を数多く残した、アメリカの建築家、F・L ライトは、大正期に帝国ホテルの設計で来日し、国内各地で見た際に、大工の 精緻 な仕事ぶりに驚嘆して『世界中で一番木を知っているのは日本人だ』と語っています。
一方、日本初のコンクリート住宅である、昭和9年建築の江戸川同潤会アパートは、築後約50年で人が住めなくなりました。
⑦こども・おとなに優しい素材
人間は生き物です、生き物が住む家ですから、やはり生きた素材( 無垢 の木)をおすすめしております。
私は家を造るに当たって、無垢の木を、化学物質などで加工をしない、素材そのままの状態で使いたいと考えています。
お野菜でいうと「無農薬野菜」にあたります。
住む人が、体も心もすっぴんでいられる、思わず、はだしで走り回りたくなるような、そんな住まい造りを心がけています。